Abstract

東アジア地域ではエネルギー消費量が増加傾向にあり,今日までに多量の大気汚染物質が排出されたと考えられる.大気観測システムの向上により,その飛散状況が明らかにされているが,観測データのない時代の状況は不明である.本研究では,ため池底質中の球状炭化粒子(SCPs)に着目し,過去から現在へのその含有量推移を検討した.また,球状炭化粒子の化学組成比により,燃料種の推定を試みた.北陸地方にある夜叉ヶ池底質の深度に伴う球状炭化粒子の含有量トレンドは,1970年頃まで日本の都市部のそれらと類似するが,1980年以降は全く異なっている.1980年以降の堆積物中の微細な球状炭化粒子を分析したところ,中国で確認された球状炭化粒子の化学組成比と類似する傾向を示した.富士山頂の残雪からも同様の球状炭化粒子が確認され,これらは越境汚染の痕跡であるといえる.

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