Abstract

東日本大震災の津波で被災した仙台湾南部海岸において,UAV(ドローン)により海岸を空撮することで漂着物の海岸内での分布状況を季節的に計測することを試みた.調査は,環境配慮の一環で堤防の位置をセットバックしたエリア(a地区)と同じ地区でセットバックしていないエリア(b地区)で実施した.調査にあっては, UAV を用いて調査地区ごとに汀線から堤防までの範囲で垂直画像を取得して PC 上で拡大し,海岸漂着物の座標と種類を自然物と人工物に分けたうえで,10 種に分類し,目視により識別して計数した.解析は,調査期間を通じて各漂着物の割合や地区ごとに各漂着物の季節変化を調べ,汀線から堤防にかけた海岸での分布パターンを記述した.調査の結果,流木が 70 %と漂着物の多くを占めた.これは,流木流出起源となる河川の河口が近隣にあるためだろう.全体の 30 %を占める人工物(海岸ゴミ)の中では両地点ともプラ・ボトルが 40 %と最も多く,次いで木材,発泡スチロールが多かった.漂着物の量的関係を調べるため主成分分析を行ったところ,第 1 - 第 2 主成分の固有ベクトルから,流木及び木材の動態は良く似ており,また,発泡スチロール,ゴム・ビニール及び浮き・旗も互いに良く似た動態を示すことがわかった.一方で,プラ・ボトルの第 1 - 第 2 主成分の固有ベクトルは,これらグループの中間の値を示した.この結果は,流木等の漂着が,プラ・ボトルなどの海岸ゴミもトラップすること,すなわち海岸付近の河川整備ではそれらをむやみに放置しないなどの措置が必要なことを示唆している.今回の調査から,仙台湾南部海岸の漂着物の特徴について UAV を用いた空撮画像から把握出来ることがわかった.将来的には,AI を用いた漂着物の識別など,解析の自動化を図り,さらに広範囲での海岸監視が可能になると期待できる.

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