Abstract

水稲の日本品種60(日本品種群)とアジア各国で育成された多収品種20(多収品種群)につき, 収穫指数(HI)と収量(Y)の品種間差を調査した.HIは36.8%から53.4%に変異し, その平均値は, 日本品種では43.5%, 多収品種では48.8%であった.Yは22.6g/株から40.0g/株の範囲にあり, 日本品種における平均値は27.8g/株, 多収品種の平均値は34.1g/株であった.多収品種ではHIとYとの間に有意な相関関係が認められたが, 日本品種における相関関係は有意ではなかった.HIと成熟期における全乾物重(W2)との間には, 日本品種では有意な負の相関関係が存在したが, 多収品種に有意な相関関係は認められなかった.HIと物質生産との関係を明らかにするために, 籾数(N)と出穂期の全乾物重(W1)を基にHIを次の三つの構成要素に分割した.HI=Y/W2=[W1/W2]×[N/W1]×[Y/N] 両品種群とも, HIはW1/W2と有意な負の相関を示した.また, 日本品種ではN/W1, 多収品種ではY/Nとの間にも有意な正の相関関係が認められた.W1/W2, N/W1およびY/Nはそれぞれ, 出穂期前後の乾物生産のバランス, 籾数生産効率および登熟の良否を示す指標になると考えられる.従って, 以上の結果は, 水稲では出穂期前の乾物生産力に比べ出穂期後の乾物生産力が相対的に優れる品種ほど高いHIを持つことを示唆している.さらに, 日本品種では籾数生産効率, 多収品種では登熟の良否もHIに影響すると考えられる.

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