Abstract

わが国の代表的な早生,中生および晩生各3品種,計9品種の種子に20~30kRのγ線を照射し,早生突然変異誘発効卒に及ぼす遺伝子型の効果を調べた.実験1では品種.線量ごとにM1100個体より等量の種子を採取・混合してM2集団とし,出穂日が原品種の出穂開始日よりも早い個体(早生変異体)を選んだ.実験2では9品種中4品種について品種・線量当たりM1穂別M2100系統を供試し,品種・線量ごとに早晩両方向に1%の選抜を行った.両実験ともM3では早生変異体を選抜してM4系統を育成し,平均出穂日が原品種よつも早い系統を早生突然変異系統と判定して開花日のほか数種の農業形質を調査した.その結果,早生突然変異頻度は使用線量の範囲では20kR区で高く,かつ一般に供試品種の早晩性にはあまり影響されなかった.ただしゴガツコムギでは特異的に高い値が観察され,早生突然変異誘発の難易は供試品種の遺伝子型に影響されることが認められた(実験1).また,M2における晩生選抜の効果は全品種・線量で明らかであったが,早生選抜の効果はゴガツコムギ以外の品種ではほとんど認められなかった(実験2).両実験でゴガツコムギに誘発された早生突然変異系統は,出穂日だけでなく開花日も早生化しており,かつ顕著な劣悪形質の多面発現的随伴も認められなかった.実験結果から,原材料となる品種を選択すれば,突然変異育種法はコムギの早生化育種に有効な手段となつ得ることが示唆された.

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