Abstract
新規肝機能改善薬として開発されたTA-510の体内動態を明らかにする目的で,14C-TA-510を雄性ラットおよび雄性イヌに単回経口(30mg/kg)および単回静脈内(3mg/kg)投与した時の血中濃度推移,分布および排泄について検討した.1.14C-TA-510をラットおよびイヌに経口あるいは静脈内投与した時の尿中放射能排泄率の比から算出されたTA-510の消化管吸収率は,それぞれ約80%および100%であった.2.経口投与時において,ラット血漿中未変化体のCmaxおよびAUCはイヌに比べてそれぞれ約50倍および80倍低い値を示した.ラット血漿中の総放射能濃度のAUCに対する未変化体濃度のAUCの比率は僅か2%と少なく,TA-510は雄性ラットにおいて初回通過代謝を受けることが示唆された.3.ラット経口投与時において,消化管以外の多くの組織中の放射能は投与後6時間で最も高く分布し,血液より高濃度の放射能が標的臓器である肝臓の他に腎臓にも認められた.また,血液と同程度の放射能が肺と皮膚に認められた.脳,脾臓および精巣をはじめとした他の組織への放射能の分布は極めて少なかった.その後,組織中放射能は経時的に減少し,投与後72時間では消化管内容物と肝臓に僅かに認められたのみであった.4.ラットに経口投与後の72時間までに投与した放射能の27.5%および68.9%が尿および糞中に排泄された.また,ラットに経口投与後の48時間までの胆汁および尿中の累積放射能排泄率はそれぞれ72.2%および5.5%であった.体外に排泄された胆汁を再び十二指腸内に投与した際に,投与放射能の35.9%が吸収された.一方,イヌにおいて経口投与後72時間までの尿および糞中に回収された放射能は,それぞれ51.4%および44.7%であった.
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