Abstract

インド型品種(浙 9248,湘 24号)と日本型品種(胆振早稲,はやゆき)を供試し,低温下における苗の生長に及ぼす土壌水分の影響を検討した.水分条件として湿潤(最大容水量の70%)および湛水の二処理区を設け,苗の第3葉展開期から12日間,低温処理(11℃)を行った後,常温(20℃)に戻しさらに14日間生育させた.低温時においては地上部乾物増加量はいずれの品種も湿潤区の方が大きく,品種間差がほとんど見られなかった.根の諸形質についてみると,根の乾物重,根数,種子根長および種子根における側根の増加量はいずれも湿潤区で多く,インド型品種に比べ日本型品種で大きかった.一方,出液速度は日本型品種よりインド型品種で著しく抑制されたが,いずれの品種においても湛水区より湿潤区で高く維持され,このことから根の生理活性の維持能力の差は湿潤区と湛水区における根の生長量の差と密接な関係を有するものと考えられた.常温回復後の反応についてみると,地上部乾物重,根乾物重,根数の増加量および出液速度の回復程度はいずれも湛水区より湿潤区で大きかった.また,常温回復後の根活着能力も湿潤区で勝っていた.このことと前述した低温時における根の生長および出液速度との関係から,湿潤処理によって低温時における根の生長および根の生理活性がともに高く維持されたことが常温回復後の生長回復の優勢につながったと考えられた.以上のことより,湿潤土壌条件下での育苗はインド型品種水稲二期作の第一作目の苗代期における低温障害を軽減し,苗質を維持する上で有効であると考えられた.

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