Abstract

要旨成人Still病は,不明熱の重要な鑑別疾患の一つであるが,致死的な経過をたどることは稀である。今回我々は,致死的となりうる敗血症性ショック様の病態を呈した成人Still病の1例を経験したため報告する。症例は,特記すべき既往のない27歳の男性で,頭痛と発熱を主訴に当院を受診した。全身に皮疹を認めたが,特異的なものではなく,ヘラルドパッチと診断された。重症感染症の疑いで入院となり,入院後に血圧低下を来したため集中治療室入室となった。当初は,皮疹とハイキング歴から,リケッチア感染を筆頭とした敗血症性ショックを念頭においてミノサイクリンを含めた広域抗菌薬で治療を開始したが,抗菌薬の効果がなかったこと,山口の診断基準で,大項目2つ,小項目4つ該当し,フェリチンが1,900ng/mLと高値であったことから心筋炎を合併した成人Still病を疑った。呼吸不全の進行など,全身状態が悪化し,救命のためステロイドパルス療法による治療を開始した。ステロイド治療が著効し,循環動態,呼吸不全は急速に回復したため第12病日には集中治療室を退室し,第40病日に自宅退院となった。血液培養と各種感染症の抗体価は陰性であり,悪性腫瘍や膠原病も疑う所見がなかったため,成人Still病と確定診断した。

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