Abstract

高レベル放射性廃液は含有する発熱性元素を選択的に分離・回収することで廃棄物の減容化, 有害度軽減及び資源化を行い, その最終処分の安全性, 信頼性, 効率性向上が期待されている。大量連続処理に優れ原子力分野でも経験の深い液–液抽出法は有望な分離・回収法の1つであると考えられるが, 有機溶媒の使用による環境負荷, 大量の廃溶媒発生が問題視されている。そこで本研究では, 安全性に優れ, 環境調和型溶媒と称されるイオン液体に着目し, 発熱性核種の1つであるSrの新規分離プロセスを開発するために, 抽出剤としてクラウンエーテルを含有するイオン液体(C4mim-NfO)による硝酸溶液中からのSr(II)の抽出特性を検討した。高硝酸濃度溶液においてDCH18C6誘導体はB18C6及びDB18C6よりも高いSr抽出性能を示し, 高塩濃度溶液においても高いSr抽出性能が維持された。また, 抽出媒体のイオン液体によってもSr抽出性能が異なり, DCH18C6誘導体を含有するC4mim-NfO抽出系では硝酸濃度3 Mにおいて約29~55のSr分配比を示し, 抽出媒体として報告例の多いCnmim-NTf2よりも良好であることが判明した。これらのことから, DCH18C6誘導体を含有するC4mim-NfO抽出系は高レベル放射性廃液からのSr分離法として有用であると考えられた。

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