Abstract

SRM(Snowmelt Runoff Model)は,実測流量を使ってオンライン,あるいはオンライン的にパラメータの逐次同定や数学的な最適化を行なわなくても動かすことができる集中型モデルであり,これまで,山岳積雪流域の日平均流量の推定に用いられてきた.本研究では,日本有数の豪雪地帯である新潟県魚野川上流域にSRMを適用し,融雪-流出量を推定・検証した.SRMの入力に用いたのは,1993年4月26日,5月12日,5月28日のLandsat/TM画像から計算された流域内の積雪面積率,およびAMeDAS湯沢の日平均気温と日降水量であり,計算結果の検証には国土交通省六日町観測点の日平均流量を用いた.SRMを動かすのに必要なパラメータの一部は,1992年の融雪期における六日町の日平均流量を用いて決定し,客観的に決めるのが難しいパラメータは,魚野川上流域の北東約40 kmに位置する奥只見流域でSRMに適用された値を元に決定した.魚野川上流域で分布型流出モデルを用いて融雪-流出量を推定した先行研究との比較のため,1993年4月23日~5月30日についてNash-Sutcliffe指標を計算した.六日町の観測値とSRMの推定値で計算したNash-Sutcliffe指標は0.82となり,上述したような特徴をもつ集中型モデルであるにも関わらずSRMの推定結果は良好であった.また,4月26日と5月12日の積雪面積率のみを用いて5月13日以降の積雪面積率を外挿した場合でも,上述した期間のNash-Sutcliffe指標は0.83となったことから,SRMは短期~中期の流量計算にも使える可能性がある.

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