Abstract

イネの湛水土壌表面直播における苗立ち率に関係の深い種子根のラセン状生長の簡易検定法について検討した。組織培養用のゲランガム培地を使用して種子根の形状を観察した。ゲランガムを加えた1/2MS培地上に3cm湛水し27℃で育苗すると,種子根のラセン生長の品種間差がより明瞭になった。また,ゲランガム濃度O.25~O.5g/lのとき,種子根の培地への貫入率が高かった。このように,種子根を同じ条件下で生長させることによって品種間差を観察し易くなった。一方,ラセンの曲がりの強さを定量的に示すために,種子根のラセン形状指数(本論文ではα/βで示す)を求めた。ラセン形状を真横から観察すると波形とみなせるので,α/βは伸長方向に対する波の形状を示すものである。種子根の籾の付け根から先端方向1cm以内に発現した波についてのα/βと圃場での苗立ち傘との相関は極めて高かった。(=0,967,p<0.001)。α/βの計測位置を限定するために,種子からの定点におけるα/βを内挿法により算出し,この値と圃場での苗立ち率との相関を調べた。種子根の付け根から7mmおよび9mmの位置のα/β値と苗立ち率との相関係数は高い値を示した(r=0.951,r=0.941,いずれもp<0.01)。このことから,上記濃度のゲランガム培地条件で種子根の付け根から7~9mmの位置にあるラセン形状が,水稲の湛水土壌表面直播における苗立ち率のin vitroにおける検定法として有効であると考えられた。

Full Text
Published version (Free)

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call