Abstract

目的:腹部手術において,創部腹壁への腸管癒着は再開腹時の腸管損傷リスクとなるため,各種の癒着防止材が使用されている.しかし実臨床において,腹腔鏡手術後に何らかの理由で再度開腹手術を行ったところ,前回手術時に癒着防止策を講じていないにもかかわらず,創部の腹壁に全く癒着を認めないことも少なくない.そこで今回,創部腹壁の癒着のリスクとなる手術因子を検討した.方法:腹部手術既往のある症例で,計画的あるいは偶発的に腹部再手術を行った症例における癒着の有無を手術因子別に解析.結果:創部への腸管癒着において,単変量解析では出血量と手術アプローチ(開腹vs.腹腔鏡)が有意な癒着リスク因子であった.多変量解析では手術アプローチのみが有意な因子であり,癒着防止材を含む他の因子との相関はみられなかった.結語:開腹手術は創部腹壁への腸管癒着リスクであるため,何らかの癒着防止対策を考慮する必要があるが,腹腔鏡手術では特段の癒着防止策を講じなくても再手術の開腹時における腸管損傷リスクは低いと考えられる.

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