Abstract

【目的】血液透析患者において, 安定したHb濃度を維持するために必要な, 最少で至適な血清フェリチン値について検討する. 【方法】新治療プロトコールに従った前向き介入試験 (試験期間: 12か月間) を行った. 試験開始時の血清フェリチン値 (Frn) から3群 (高ランク群100ng/mL≦Frn, 中ランク群50ng/mL≦Frn<100ng/mL, 低ランク群Frn<50ng/mL) に分類し, 各群のFrnコントロール範囲, および鉄剤補充基準を設定した. また, 一定基準を満たし治療が継続できていたか否か (成功, 不成功例) により分類し解析を行った. 評価: Frn低下に伴いエリスロポエチン抵抗性指数 (erythropoietic resistance index: ERI) が有意に上昇する直前のFrnを, 最少至適Frnとした. 【結果】333名がエントリーされ, 282名が解析対象となった. 全体例での検討では, Frnの低下に伴いヘプシジン-25も低下し, 最少至適Frnは62.2±64.3ng/mLであった. 層別解析では, 高ランク群での最少至適Frnは103.4±80.4ng/mL, 中ランク群では, 最少至適Frnは55.2±42.0ng/mLであった. 高ランク群の成功例では, ヘプシジン-25は低下し, 最少至適Frnは61.6±29.6ng/mLであった. 高ランク群ではFrnの低下とともに, 血清アルブミン値は有意に上昇した. 【結語】Frn 100ng/mL以上の症例では, ヘプシジン-25が低下, アルブミン値は改善し, 35%の症例でrHuEPOは増量せずに, Frn 60ng/dL台で良好にHb濃度が維持できた. 以上より, Frnを指標とした鉄剤補充の開始基準は, 60ng/mLが妥当と考えられる.

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