Abstract

グアニジンのアルキル化の最終生成物として得られるヘキサアルキルグアニジウム塩の相間移動触媒能について検討した.採用したグアニジウム塩は,置換基およびその組み合わせの異なる12種の対称型および非対称型であり,これらはいずれもグアニジンあるいはモノ置換グアニジンとアルキル化剤との相間移動反応により合成した.各種グアニジウム塩の触媒能を有機相を出発相とする反応および水相を出発相とする反応のおのおのについて調べた.比較対照には4級アンモニウム塩のテトラブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)を用いた.有機相を出発相とする反応では触媒能は大略グアニジウム塩≧テトラブチルアンモニウムアイオダイドとなり,グアニジウム塩内の比較では親油性の高いものほど高い触媒能を示した.一方,水相を出発相とする反応では触媒能は大略テトラブチルアンモニウムアイオダイド>グアニジウム塩となり,グアニジウム塩内の比較では親油性の高いものほど高い触媒能を示した.しかし,いずれの反応においてもグアニジウム塩中ヘキサベンジルグアニジウム塩はほとんど触媒効果を示さず,その原因が相間移動反応条件下での強塩基による加水分解にあることを明らかにした.さらに,グアニジウム塩の触媒作用機構および有機相を出発相とする反応における高い触媒能をグアニジウム塩の構造と関連付けて考察した.

Full Text
Published version (Free)

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call