Abstract

静岡県の茶園に生息するクワシロカイガラムシの土着天敵類の発生実態を明らかにするため,2002年と2003年に数カ所の茶園において,葉層下に設置した黄色粘着トラップに捕獲された天敵類の種類とその数を調べた。その結果,チビトビコバチ,サルメンツヤコバチ,ナナセツトビコバチ,クワシロミドリトビコバチ(仮称),および二次寄生蜂のマダラツヤコバチの5種の寄生蜂と捕食性タマバエDentifibula sp.,ハレヤヒメテントウ,キムネタマキスイ,およびヒメアカホシテントウの3種の捕食性コウチュウ類がトラップに捕獲された。寄生性天敵では,チビトビコバチの捕獲数が最大で,次いでサルメンツヤコバチや捕食性タマバエの捕獲数が多く,羽化調査の結果と同様にチビトビコバチが第1優占種であった。捕食性コウチュウ類では,ハレヤヒメテントウの捕獲数が他種より圧倒的に多く,本種がコウチュウ類の優占種であった。チビトビコバチは年間5~6回の明瞭な捕獲ピークが,サルメンツヤコバチとナナセツトビコバチでは年間3回の捕獲ピークが,捕食性タマバエとハレヤヒメテントウでは,やや不明瞭であるものの年間3回程度の捕獲ピークが認められた。さらに,チビトビコバチ,サルメンツヤコバチ,ナナセツトビコバチ,および捕食性タマバエでは,寄主のクワシロカイガラムシの幼虫ふ化ピーク日または雄成虫のピーク日と各天敵のピーク日との関係をまとめた。クワシロカイガラムシ幼虫または雄成虫の捕獲数とチビトビコバチの成虫捕獲数との関係を各世代毎にプロットしたところ,寄主-捕食寄生者間のモデルに示されたような震幅を拡大しながらの左回りの挙動を示した。このことから,チビトビコバチが,天敵として寄主の密度抑制に深く関与していることが示唆された。

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