Abstract

動物レクチンはヒトや動物に含まれる糖鎖の生理的役割の解明に大きく貢献してきた。マンナン結合タンパク質(MBP)は、その糖鎖認識ドメイン(CRD) に存在する糖結合部位を介してマンノース、N-アセチルグルコサミン、L-フコースに結合する。病原微生物では、細胞表層のマンノオリゴ糖がMBPに結合する主要な糖鎖である。これに対し、内在性の標的であるヒト結腸癌細胞株SW1116の場合、I型のルイス型オリゴ糖鎖がMBPの主要な結合相手となる。すなわち、SW1116細胞の可溶化物オリゴ糖鎖をMBPカラムにかけると、4個以上のFuc(Hex-HexNAc)ユニットをもつ複合型糖鎖(MLO)がカラムに結合するのに対して、3個以下のFuc(Hex-HexNAc)ユニットを持つ複合型糖鎖および高マンース型糖鎖 (Man5 to Man8)はMBPカラムに結合しない。これらの結果は、MLOがこれまで報告のない新規な癌関連糖鎖であることを示している。なぜMLOがこのように高い親和性を示すのか、今後の研究課題であるが、コンピュータモデリングによるとMBPの3量体と Leb-(Lea)x4-Lex糖鎖の間に興味深い複合体の形成が可能なことが示されている。

Full Text
Published version (Free)

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call