Abstract

権利保護保険では,保険給付の対象となる弁護士費用等について見解の相違が生じることがあり,損害防止義務の規律によってその解決を図ることが考えられる。ドイツでは,権利保護保険における損害防止・軽減義務を巡って,多くの裁判例が蓄積されてきたところ,近時,連邦通常裁判所が,透明性原則や代表者責任論などに依拠して,普通保険約款の費用軽減条項や帰責条項を無効とする判断を示すに至り,実務に大きな影響を与えている一方,請求権代位の枠組みで権利保護保険者により弁護士に対する多くの損害賠償請求訴訟が提起されている。こうしたドイツの展開から,わが国における問題解決の実務的アプローチとしては,損害防止義務によるのではなく,保険事故や給付範囲の明確化によることが適切であることが示唆される。

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