Abstract

Fe-MnクラストのOs同位体比層序は, その生成年代を現世~白亜紀まで遡って決定可能な数少ない手法の1つとして近年注目されている. 本研究では, Fe-MnクラストのOs同位体比層序に必須のドリリングによる密な粉末試料作成方法の確立および微量の粉末試料を用いて確度良く同位体分析を行うためのRe, Osブランクの低下を目的として, (1) 粉末試料作成時のドリリングによる金属製ドリルからのRe, Os混入量の評価, (2) 粉末試料の酸分解に用いる各種試薬のOs量の評価, (3) 酸分解時の加熱温度・時間を変えて行ったカリアスチューブ (酸分解に用いるガラス容器) からのOs混入量の評価を行った. 3種類の材質の金属製ドリルを用いてドリリングを行った結果, いずれの材質のドリルを用いても最大で50pg程度のReが混入すること, タングステンカーバイド (WC) ドリルを使用した場合のみOsの混入が起きないことが明らかとなった. また, TAMAPURE AA-10 HNO3のOs量および187Os/188Os比は, 電子工業用 (EL) と特級HNO3よりも顕著に高い値を示すことが明らかとなった. さらに, 分析前処理におけるOsブランクの大部分はHNO3由来であり, カリアスチューブ内での加熱温度・時間を変えても, Osブランク量は変化しないことが確認された. したがって, WCドリルを用いて粉末試料を作成し, EL逆王水を用いてOsブランクを低下させることにより, Fe-MnクラストのOs同位体比分析を確度良く行うことが可能である.

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