Abstract

従来化学分析に依存していた小形,または切削試料の成分分析を迅速に行なうために,光電測光式発光分光分析装置を用いる回転電極法を検討した.励起は分析元素の定量範囲と,放電の安定性を考えて高圧スパークを使用した.しかし分光器の光学系は円筒レンズ結像法であり,電極点が常に移動する回転電極法においては,特に放電間げきにおける各元素の濃度分布の差が分析精度に与える影響が大きい.そのために入口スリットに平均した各元素の光量を与える光学系とした・また,分析試料の大部分が低合金鋼であり,同一溶液からケイ素,マンガン,ニッケル,クロム,銅,モリブデン,バナジウムおよびリンなどを分光分析法あるいは吸光光度法によって定量しなければならないので,試料の分解には分解能力が強く,分光分析の励起時,著しく発煙せず,また,ケイ素,リンの吸光光度法で濃縮または蒸発乾固を必要としない王水を用いた.炭素電極については,電極の吸水率とその加工精度などが分析精度に与える影響が大きいと考え,市販電極と黒鉛棒から切削加工した自製電極について吸水率を調べた結果,市販電極より自製電極のほうが吸水率のばらつきが少ないことがわかった.また自製電極をパラフィン処理することによって,さらに吸水率を均一化し分析精度を向上することができた.本法によれば,小形および切削試料が容易に分光分析で定量され,試料のマクロ的な偏析や,金属組織などによる分析誤差を排除し,化学分析に比較して分析所要時間および分析費用を約1/5に短縮することができた.

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