Abstract
1990年代から,高齢者の自立促進条件は,積極的に研究されてきた。その条件は,良好な家族との関係であり,安定した経済的な基盤であり,快適な居住環境である。加えて,親戚,近隣,友人,知人などの関係が豊かなことである。第三には,趣味や得意をもつことである。これらがQOLを高くする。人間関係をストリングスと呼び,QOLが高いことをストレングスと命名すれば,高齢者のストリングスが得意と趣味とに結びついて,ストレングスを押し上げることが分かっている。全国5565人の高齢者データ計量分析の結果,市部よりも町村部の高齢者に,得意がストリングスに結びつきやすかった。事例分析に選んだのは長崎県すこやか財団の「シニア記者制度」であり,得意を具体的に検討した。その結果,満足感と生活の積極性としての自立志向が構造的要因になっていたことが分かった。ここから,社会的凝集性を目標とした社会全体の持続可能性を展望したい。これには,オーストラリア政府が実施している「堅固な家族とコミュニティづくり」が参考になる。「堅固な家族」を戦略的に作り出すことは家族関係を強め,家族解体を減らすことになる。これに即した政策の遂行によって,長期的な視野の中で個人,家族,コミュニティの持続可能性が開けてくるはずであり,日本高齢社会でも応用される価値がある。
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