Abstract

1983年夏, 栃木県益子の豚舎において, ペルメトリン空間噴霧によるイエバエ防除効果が劣化してきたという報告を受け, 同年9月に確認のための現地試験を行なった. 薬剤処理前と後において, 各種方法によりイエバエ成虫数の推移ならびにノックダウン状態からの蘇生率を調査して比較したところ, 明らかに防除効果が著しく低いことがわかった. このハエを実験室に持ち帰り, 増殖後そのまま, または薬剤で2, 3回淘汰後, 各種ピレスロイド剤, p, p′-DDTおよび有機リン剤に対する感受性を局所施用法でしらべた. 対象には標準的感受性系統の高槻系を供試した. その結果, LD50値でみても, 抵抗性比でみても, わが国で過去に例をみないほど強力なピレスロイド抵抗性が発達していることがわかった. このハエは有機リン剤にも交差抵抗性を示したが, p, p′-DDTに対しては高槻系と差がなかった. 供試したすべての殺虫剤のLD50値は, ピペロニルブトキシドを前処理することによって著しく低下したので, このハエのピレスロイド抵抗性のメカニズムとしては, よく知られているkdrまたは super-kdr gene による神経の感受性の低下ではなく, 薬物酸化酵素系による解毒能力の増大が主要因である可能性を示唆した.

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