Abstract

抗菌材料としての利用を目的として,凍結–解凍法により,ホタテ貝殻由来の水酸化カルシウム微粉末を内包させたポリビニルアルコール(PVA)のヒドロゲルを調製した.得られたPVAヒドロゲルについて,水酸化カルシウム微粉末の内包量が,ヒドロゲルの膨潤度,引張り強度,再膨潤能,媒体のpHおよび植物育成能に及ぼす影響を調査した.これらの調査結果より,100重量部のPVAに対して20重量部の水酸化カルシウム微粉末を内包させたPVAヒドロゲルが安全で実用性に優れた抗菌材料になると判断し,次に,20重量部の水酸化カルシウム微粉末を内包させたPVAヒドロゲルについて耐熱性,抗菌・消臭性能を評価した.また,水酸化カルシウム微粉末の残存性も評価した.耐熱性については80°Cまでの加熱に耐えることが確認できた.大腸菌液を用いて抗菌性試験を行ったところ,静菌活性値は>6,また殺菌活性値は>3.1であり,十分な抗菌効果を有することがわかった.また,酢酸ガスを用いた消臭試験では,2時間後のガス減少率が95%以上であり,消臭も可能なことが確認できた.さらに,脱イオン水に3ヶ月浸漬させても,水酸化カルシウム微粉末はPVAヒドロゲル内に約60%残存しており,微粉末の溶出が少ない使用環境では,抗菌・消臭性能の持続性が期待できた.

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