Abstract

アルカリ水溶液中で石炭を酸素酸化しベンゼンカルボン酸を主成分とする芳香族酸を製造する方法について概説した。使用石炭の炭化度が低いと酸化反応は低温でも容易に進行するが, 芳香族酸の収量が低い。鹿町炭は最も適当な原料の一つで水可溶芳香族酸の収量は約61%に達するが, 他の石炭でも気相空気酸化や低度の乾留を前処理として行なうと良好な収量が得られる。反応温度, 酸素圧, 撹拝状態およびアルカリ使用量は反応速度に大きな影響を及ぼす重要な因子であるが, アルカリ使用量が少ない場合には反応機構が変化するため生成酸の収量が低くなる。炭酸ソーダを使用し生成する炭酸ガスを連続的に反応室外に除去しながら酸化する方法は, 腐蝕が少なく, アルカリの回収も容易であるため, 工業的に最も有利な方法と考えられる。最適反応条件では約61%の収量で水可溶芳香族酸が生成し, その中43%はべンゼンカルボン酸類であり, 約3%がナフタリンカルボン酸, 約10%が2~3環のべンゼン核を母核とするカルボン酸であり, 他の酸は熱に対して比較的不安定で極性の強い母核構造を有するものである。ブチルエステルの用途, ベンゼンカルボン酸類の分離法, テレフタル酸などのジヵルボン酸の生成法についても概説した。連続的反応装置を設計する場合の問題点を述べ, 10t/日の石炭を酸化する装置について物質収支および熱収支を計算し, フローシート並びに各部分の温度と生成量を示した。

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