Abstract

本研究の目的は、歴史まちづくり法のもと策定された歴史的風致維持向上計画による歴史的建造物の保存再生の仕組みと実態について、愛知県名古屋市および犬山市を事例から明らかにすることである。とくに景観行政と文化財行政との連携に着目した結果、認定や登録を行う保存再生制度を支える市独自の専門家育成に取り組む名古屋市では、国登録文化財を中心に扱う県のヘリテージマネージャ―と相互に連携した展開が見出せた。犬山市では、歴史まちづくり法制定以前の都市景観形成基準で図られてきた「保全型」と「創造型」の保存再生手法が「創造型」と同等の基準となる現行のルールへと移行したものの、「保全型」に沿う手法の採用など修理・修景の促進や意識の高まりが指摘できる。そこでは過去に景観助成により整備されたがゆえに、数年に文化財保存事業費補助を受けた際に本来の形態に復原できなかった事例も発生していることから、歴史的価値を踏まえた保存再生の手法の選択や技術の共有が課題となることが示唆された。

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