Abstract

塊根茎作物の貯蔵器官形成のメカニズム解明に資するため, バレイショ茎断片培養法を生物検定系として用い, 我が国への新規導入が期待される塊根茎作物を含め9種の植物の抽出物の塊茎形成活性を調査・比較した. 供試した植物の地上部抽出物の内, バレイショの塊茎形成を誘導する活性が強かったのは, サツマイモの水溶性分画と酸性酢酸エチル(AE)分画, キクイモのAE分画, ヤーコンのAE分画, スギナのAE分画で, キャッサバのAE分画も比較的強い活性を示した. 一方, 食用カンナ, コンニャク, サトイモや塊根を形成しないサツマイモ近縁野生種では, いずれの分画も活性は低かった. 強い活性を示した分画の内, サツマイモのAE分画に存在する活性物質は精製の結果, ジャスモン酸と同定した. また, スギナのAE分画に存在する活性にはABAが関与しているものと思われた. 地下貯蔵器官の抽出物では, AE分画にバレイショ塊茎形成活性を示すものが見られ, キクイモの塊茎で特に活性が強く, キクイモのふく枝, ヤーコンの塊茎や塊根, サツマイモの塊根, キャッサバの塊根も比較的高い活性を示した. 一方, 食用カンナの肥大茎, コンニャクの球茎, サトイモの塊茎では活性が弱く, コンニャクの吸枝では全く活性は認められなかった. 上記のバレイショ塊茎形成活性を指標にして, 地下貯蔵器官形成の生理的機構のバレイショとの類似性という視点で塊根茎作物を比較・類別すると, 塊茎作物の内キクイモ, ヤーコンは類似性が高く, 塊根作物のサツマイモ, キャッサべでも一定の類似性を持っているが, サトイモ, 食用カンナ, コンニャクではバレイショとの類似性は低いと思われた.

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