Abstract

ラッカセイの地上部全体の光合成速度および蒸散速度においてしばしば観察される顕著な周期的変化の発生要因について検討した. まず, 周期的変化の発生と蒸散要求との関係を調べるため, 同化箱に導入する空気の湿度を変化させた. その結果, 導入空気の気温25℃における相対湿度が25%程度の比較的低湿度条件では供試個体のおよそ90%で光合成速度と蒸散速度の顕著な周期的変化が観察されたが, 相対湿度が65%程度の比較的高湿度条件ではほとんど観察されなかった. したがって, 空気湿度の低下にともなう蒸散量の増大が周期的変化の発生にとって重要であることが考えられた. また, 低湿度条件で周期的変化を示している個体の一部の葉をアルミ箔で覆って, 個体全体の蒸散量を抑制したところ, 周期的変化が消失した. 一方, 低湿度条件においても周期的変化が発生しない個体について, その根系の一部を切除する処理を行ったところ, 周期的変化が発生した. 以上の結果より, ラッカセイの光合成速度および蒸散速度の周期的変化は蒸散要求が大きい低湿度条件において, 蒸散量に対して吸水能力が十分ではない場合に発生するものと考えられた. また, 空気湿度低下時の周期的変化の発生しやすさの個体差の原因として吸水能力が関与する可能性が示された.

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