Abstract

要旨 paroxysmal sympathetic hyperactivity(PSH)は重症頭部外傷,低酸素脳症などに起こり,交感神経系が発作性に過活動になる病態である。また,鈍的頭部外傷による限局した脳梁血腫は稀有であるが,その経過においてPSHを呈した症例は我々の知る限りでは報告されていない。症例は16歳の男性で,ロードバイクで下り坂を走行中に対向の軽自動車と正面衝突し,救急搬送となった。第3病日の頭部CTにおいて,限局した脳梁血腫が顕在化した。第7病日から間欠的に40℃台の高熱,頻脈,頻呼吸,発汗,全身の震え,瞳孔散大などの交感神経亢進症状が出現した。第9病日より,PSHを疑いガバペンチン投与を開始。交感神経亢進症状は徐々に鎮静化した。その後,意識レベルは改善し,第54病日に独歩退院した。PSHは外傷性脳損傷(traumatic brain injury: TBI)における,集中治療室(intensive care unit: ICU)滞在期間長期化のリスク因子であり,PSHの病態において,大脳深部損傷との関連があるという報告もある。脳梁損傷のような大脳深部損傷に交感神経亢進症状が発作的に出現する場合はPSHを疑い,治療を早期に開始することが予後改善のために重要であり,治療法の1つとして,ガバペンチンが有効である可能性がある。

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