Abstract

長野県南部に分布する下部中新統富草層群の古地磁気を調査した.砕屑岩と凝灰岩の残留磁化方位が23地点で決定された.これらの方位はマグネタイトと,強磁性硫化鉄(ピロタイトやグレイガイト)またはマグヘマイトによって記録されている可能性が高い.逆転テストと熱接触テストから,得られた方位は磁気層序と回転運動の検討に利用可能と判断される.富草層群はChron C5Dnの上限年代(約17.2 Ma)よりも古く,C5Erの下限年代(約18.7 Ma)よりも新しい地層と考えられる.正極性と逆極性の地点方位から求められた層群平均方位は地心軸双極子磁場方位と区別できず,アジア大陸北中国地塊の中新世古地磁気極から期待される方位とも区別できない.現在MTLは本州中部で「ハ」型に大きく屈曲しているが,オロクライン・テストの結果から,前期中新世の後期(17 Ma頃)には直線状だったと考えられる.

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