Abstract

鮮新世における日本海中部沿岸域の古海況を明らかにすべく, 新潟県新発田市周辺の鍬江層産軟体動物群を検討した.鍬江層は岩相的に下部, 中部, 上部に細分される.軟体動物化石を多産する本層中部の上部~本層上部の年代は抽出された石灰質ナンノ化石より鮮新世中期のNN16帯下部から中部と判断される.鍬江層から産出した軟体動物群中には鮮新世~更新世前期に日本海側で生息した大桑・万願寺動物群の特徴種が含まれる.また, 多くの寒流系種に加え, 本層中部の上部~本層上部から35種もの暖流系種が認められた.特に, 本層上部から, ほぼ同時期に堆積した秋田県の天徳寺層よりも多くの暖流系種が認められ, 当時日本海に流入した暖流の温度勾配を反映していると考えられる.また, 暖流系種中には西南日本太平洋側の掛川動物群との共通種や現在日本海に生息しない暖流系種が認められ, 現在より高温で薄い暖流が, 冷水塊上を流れていたと思われる.

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