Abstract

要旨一般に,大動脈消化管瘻は出血・感染コントロールに難渋する致死率の高い疾患である。今回,我々が行った大動脈閉塞バルーンカテーテルによる出血コントロール,open abdominal management(OAM)と非解剖学的血行再建術を併用した感染コントロールは有用であると考え報告する。症例は63歳の男性で,下血を主訴に救急搬送された。腹部造影CT検査で右感染性総腸骨動脈瘤の切迫破裂,S状結腸への穿破,骨盤内の膿瘍形成を認めた。大動脈閉塞バルーンカテーテルを挿入し中枢側遮断を行い,S状結腸部分切除,虫垂切除,右総腸骨動脈結紮・断端形成,左–右大腿動脈バイパス術を行った。術後はOAMとし,第2病日に瘤壁の可及的切除・デブリードメント,洗浄を行い,第3病日に人工肛門造設および閉腹術を行い,第33病日に退院した。本症例では大動脈閉塞バルーンカテーテル留置により,瘻孔からの出血コントロールを行うことで術中の視野確保,出血量の減少に有用であった。また可及的瘤壁の除去,3日間のOAMにより膿瘍壁のドレナージを繰り返し行い,非感染部位で血行再建を行うことで人工血管への感染も回避することができた。本症例を通して大動脈消化管瘻に対し大動脈閉塞バルーンカテーテル,OAMを用いた非解剖学的血行再建術は有用であると考えた。

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