博多湾窪地埋め戻しによる海域環境の改善

Abstract

博多湾では，百道浜沖と愛宕浜沖の2か所に大規模な窪地が存在し，窪地内部で発生する貧酸素水塊が博多湾の水質悪化の要因の一つに考えられている．浚渫土砂の有効利用と海域の環境改善を目的に，平成23年度より百道浜沖窪地の埋戻し事業が実施され，平成27年度に完了した．本研究では，窪地埋戻し施工初期から施工後にかけて実施された環境モニタリング調査から，窪地埋戻しによる水・底質の改善および生物群集の変化について明らかにした．また，環境改善効果について定量的な評価を試み，改善効果の推移過程を明らかにした．改善効果は，底質，水質，生物の順に発現が確認でき，工事完了後1年経過時点で周辺海域とほぼ同様の状態までに改善した．また，本結果を踏まえて，窪地埋戻しに伴う環境改善効果発現の推移モデルを示した．