Abstract

化粧品製剤の重要な役割の一つに,有用素材を皮膚内へ運ぶことが挙げられる。皮膚には,外界からの異物の侵入を防いだり体内からの過剰な水分蒸散を防いだりする角層という強固なバリアが備わっているため,これまでの製剤技術開発者は,皮膚上に塗布した有用素材を角層より下の細胞に届けることに注力し,成果を上げてきた。したがって,開発された製剤技術の多くが角層への浸透性向上に対するアプローチであり,その下の表皮生細胞層での拡散浸透性はほとんど検討されてこなかった。われわれは角層とその下の表皮生細胞層で水分量が大きく異なることに着目し,両者に対する製剤の浸透性は異なるのではないかと仮説をたて,各々の層に分けて両親媒性物質会合体の浸透性を評価した。その結果,仮説どおり同一の製剤でも角層とその下の表皮生細胞層とでは浸透性が異なることが明らかとなり,角層と比較してこれまであまり着目されなかった表皮生細胞層に対する浸透性も,角層と同様に表皮全層の浸透性に大きく寄与していることが示唆された。すなわち,有用素材を目的の表皮細胞まで効率的に運ぶには,角層に加えて表皮生細胞層に対する浸透性も考慮することが重要であると考えた。

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call

Disclaimer: All third-party content on this website/platform is and will remain the property of their respective owners and is provided on "as is" basis without any warranties, express or implied. Use of third-party content does not indicate any affiliation, sponsorship with or endorsement by them. Any references to third-party content is to identify the corresponding services and shall be considered fair use under The CopyrightLaw.