Abstract
透析手根管症候群は透析アミロイドーシスにより初回手術後も複数回再発をきたし得るため長期的視野に立った治療計画が必要である. 症状が再発または複数回再発し通常の手根管開放術では対処できない症例に対し著者らが行っている浅指屈筋腱切除術の術後成績を調査し治療選択の一助とする. 本手術を行った50手の臨床症状回復状況と再発の有無を調査した. しびれは92% (平均19週), 痛覚障害は100% (17週), 触覚障害は100% (19週), APB筋力は56% (197週) で改善, 運動神経遠位潜時の15% (2年), 知覚神経遠位潜時の19% (3年) で正常化した. 臨床症状再燃または再手術をエンドポイントとした場合の50%生存率はそれぞれ6.1年と9.0年であった. 本法は手根管掌側の切離可能な組織がない場合に適応となり, 再発例, 再再発例のいずれにおいても術後良好な臨床症状改善が得られた.
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