Abstract
小児頭蓋頚椎移行部病変 (CVJ) の多くは骨性の先天異常が原因となり生じる. CVJの骨性異常の解明には, 発生における骨化と脊椎形成上の再分節を理解することが重要となる. 骨化に関しては, 発生学的に, 頭蓋骨・顔面骨が膜性骨化で形成されるのに対し, 後頭骨・脊椎は軟骨性骨化を遂げる. また, 環・軸椎は再分節しない後頭骨と再分節する脊椎間の移行椎にあたる. 両者が関与して複雑な形態異常が発生する. また, 骨化完成時期はC1前結節の出現が生後6カ月∼2歳, 全骨化が完成するのが5∼13歳である. C2歯突起の骨化核出現が3カ月, 骨化が完成するのが10∼13歳である. 脊椎は脊索周囲に間葉系細胞が集束し形成される. 胎生3∼5週にかけ, 頭尾側方向に体節 (somite) が42∼44対形成される. 体節が再分節し椎板が形成される. 頭側の第1∼第7椎板 (sclerotome) が後頭骨, 環椎, 軸椎形成に関与する. CVJ形成に関しては, 第4∼第5体節間が頭蓋骨と環椎の境となる. また軸椎の形成には3レベルの椎板が関与する. 再分節の異常は癒合椎, 半椎体の原因になる. 小児CVJ手術のための外科解剖の理解のためには, 同部の発生学的背景を理解したうえで, 周囲の神経・血管形成への影響・変異を検討することが重要となる.
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