Abstract

和牛飼育農家の経営目的は収益性の向上にあり,販売価格の向上を図ることが経営管理上最も重要な課題となっている,このため,本研究では日本食肉格付協会末吉支所で格付された和牛去勢枝肉1315頭の枝肉価格と枝肉格付成績を素材として,枝肉販売単価を規制する諸要因を計量的に解明した,併せて,枝肉格付成績と販売単価等との相互関連性を大型計算機を用いて多変量解析を行い次の結果を得た.和牛去勢枝肉について,格付規格項目ごとに等級別の販売単価を求めれば,枝肉等級,脂肪交雑,肉色,きめ締まり,等の枝肉形質において枝肉格付規格「上」以上の販売単価が高く,また全体として各枝肉規格項目において,上位格付に移行する程販売単価の等級間の価格差が大きくなっている.和牛去勢枝肉販売単価は脂肪交雑によって規制される割合が最も高く,脂肪交雑は枝肉販売単価向上の基本的戦略になっている.この外,和牛去勢枝肉販売単価は枝肉等級,きめ締まり,肉色によっても大きく影響される.なお,脂肪交雑はきめ締まり,肉色との相関が高く,枝肉販売単価を高くするためには脂肪交雑を向上しなければならないが,これはきめ締まり,肉色にも影響し,結果として販売単価上昇のための技術的課題は脂肪交雑と併せてきめ締まり,肉色についても考慮する必要があることになる.さらに,和牛去勢枝肉販売巣価は枝肉重量によっても大きく影響され,コストとの関連性は当然考慮すべきであるが,現状では和牛の場合は枝肉重量の増大により販売単価を向上さすことが和牛経営の重要な経営戦略になっている.

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