Abstract
がん治療において医療者側と患者側のコミュニケーションは非常に重要である。終末期には予想がつかない病態の変化や,急変の可能性は少なからずあり,情報共有が十分になされていないと,結果的に患者や家族から医療者側が不信感をいだかれることもある。今回,肝転移を来した後,化学療法に伴う腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome; TLS)を発症した上顎歯肉癌の1例を経験した。患者は70歳男性で,2013年に右上顎歯肉癌の手術後,加療中であったが,原発巣再発,多発性肝転移,多発性骨転移が認められたため,2014年全身化学療法としてPaclitaxel 100mg/m2施行されたが,投与翌日に全身状態が悪化し,前医に緊急入院後,加療目的に吹田徳洲会病院に転院となった。変化する病態に対し,治療の優先順位の決定や他科との連携を短時間で行うことが求められ,腎不全,貧血の改善,肺炎の治療,疼痛コントロールを行った。本症例では医療者側と患者・家族との病状に対する認識に関して隔たりが大きく,それを埋めることが急務であった。治療と並行して,病状についてのみならず,緩和ケア,また患者や患者家族にとって最も望ましい看取りについて何度も説明を行った結果,最終的にはこれまでの治療に対する疑問,不満はなく,家人の死を受容できるようになっていたように思われた。今回は,がん治療におけるコミュニケーションの重要性を中心に報告する。
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