Abstract

冠動脈異常の発生率は1.3%程度と,まれではない.多くは偶然発見され自覚症状を伴わない場合も多い.しかし,なかには心筋梗塞,不整脈,突然死などの重篤な合併症を引き起こす場合がある.左冠動脈が右バルサルバ洞から起始する異常,なかでも大血管間を走行するものは若年運動選手での突然死の原因の一つとして知られており,自覚症状がなくても手術を行うべきである.負荷心電図で陰性のものも多く,疑った場合には必ず心エコー,造影CTなどの冠動脈形態の検査を行うことが重要である.左冠動脈肺動脈起始では生後早期より重症の心筋虚血,左室不全,僧帽弁閉鎖不全などを生じることが多く,しばしば心筋症や先天性の僧帽弁疾患と間違われる.乳児期早期のtwo-artery coronary systemの確立が必要である.冠動脈瘻は心筋虚血や短絡による心不全が問題となり,基本的には自覚症状で手術適応が決まる.症例によってカテーテル閉鎖も可能であり,あるいは冠動脈バイパス術が必要な場合もあるので,術前の形態診断が重要である.狭心痛,心筋虚血,不整脈,心不全などの症状の患者を診る際には冠動脈異常を鑑別診断に加えることが重要である.

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