Abstract
症例は60歳, 女性. 34歳時, 子宮癌で子宮摘出術と放射線照射を受け, 1年後に照射による直腸狭窄のためS状結腸双孔式ストーマを造設された. 58歳時, ストーマに隆起性病変を認め生検で高分化型腺癌であった. 手術を拒否して以後来院せず, 2年後の受診時にはストーマはほぼ全体が癌であり, MRIではストーマ周囲の腹壁への直接浸潤を認めた. 手術時の皮切は下方に凸の弧状切開とし, ストーマ周囲は紡錘状に腹壁を合併切除した. ハルトマン手術を施行し, 下行結腸単孔式ストーマを左上腹部に再造設した.結腸ストーマから発癌した症例の報告は稀であり, 双孔式ストーマからの発癌例は検索した限り皆無であった. 本症例ではストーマ部の結腸は放射線照射領域にあり, 照射による二次発癌の可能性も考えられる. また皮切に弧状切開を用いたことにより旧ストーマを含む腹壁切除と開腹操作が可能であり, ストーマ再造設部位の選定も容易であった.
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