Abstract

脳血管機能障害や脳精神疾患の診断とその治療評価には,ポジトロン断層画像法(PET)や機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)など生体イメージング技術による脳血流測定が用いられる。これらイメージング技術から得られる情報を治療に正しく活かすには,脳血流の動態調節機序を正確に理解する必要がある。げっ歯類などモデル動物を対象とした脳血流動態の基礎研究は,マイクロレベルの微小血管で生じる脳血流の調節機序を明らかにする上で極めて重要な意味をもつ。げっ歯類を用いたこれまでの脳血流測定の多くは麻酔条件下で行われてきた。麻酔は実験動物福祉(苦痛やストレスの軽減)や計測技術(自発運動による振動ノイズの抑制)の観点から必要であるが,薬剤による生理機能への影響が測定結果に反映されるなどの問題も存在した。著者らは覚醒状態のげっ歯類を用いた脳血流実験システムを開発し,本来の生理状態を維持した条件下での脳血流動態の測定を可能とした。本稿では,脳血流の調節機序に関する最近の知見を概説するとともに,覚醒マウスから得られた脳血流調節機序の一端について紹介する。

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