Abstract

本稿では、離婚発生のメカニズムと女性のライフコース選択における離婚のコストを問題にする。方法的には家族という集団が家族員により維持される側面と家族が全体として個人のライフコースを支える側面とを区別するパースペクティブをとる。分析には母子寮入寮者の事例を用いた。離婚過程では、夫婦の一方のライフコースにおける危機の発生が家族の機能障害を引き起こすという局面につづいて、家族の機能障害が夫婦のもう一方のライフコースに危機をもたらすという局面が生じる。離婚の制約条件となるのは、夫婦の性的・情緒的機能の障害である。夫婦の役割分業システムにおける役割の固定は、夫婦関係への影響が大きい経済的機能の障害や養育機能の障害を深刻にする可能性がある。母子世帯の形成は離婚後の女性のライフコース選択のモーダルタイプである。子供の養育がもっぱら母親に委ねられるのは、現代家族における母子関係の強さと父子関係の希薄さの一つの結果である。それは、稼働役割と子の養育の役割を二重に担うことを女性に課す。しかし、ライフコースのそうした転換点において女性はきわめて少ない資源しかもたない。そのため女性の側での離婚の経済的コストはさらに大きくなる。夫婦の役割分業システムは、子の養育のサポート・システムや妻の安定した職業的地位を必要としない点で、女性の新たなライフコース選択を制約するとみられる。

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