Abstract

日本の食料自給率向上のために,ホールクロップサイレージ(WCS)用飼料イネの栽培による飼料増産が期待されている.そこで,土地利用率や収益を向上し,生産コストや作業の競合を低減させるために,水稲−麦類の二毛作体系において,WCS用飼料イネの晩期直播栽培の導入が有効と考えられる.WCS用飼料イネは,籾のみならず茎および葉鞘(茎部)に多くの非構造性炭水化物(NSC)を蓄積することが消化性の向上のためにも重要であり,直播栽培においては耐倒伏性も重要となる.そこで,WCS用飼料イネの実用品種を含む8品種の栽培試験を2年間行い,晩期乾田直播条件下での,収量,NSC蓄積,耐倒伏性の品種特性を調査した.地上部乾物重に占める穂重の割合が小さい品種では,黄熟期には子実への同化産物の蓄積が停滞するため,高濃度のNSCを茎部に蓄積すると考えられた.一方,そのような品種は,在圃期間が長いため,冬作である麦類の作期と競合する可能性がある.しかし,品種によっては,糊熟期に収穫することにより,在圃期間が短くとも,茎部に高濃度のNSCを蓄積する可能性があると考えられた.さらに,糊熟期では, 地上部乾物重に占める穂重の割合が小さいことからも,黄熟期に比べて倒伏が起きる危険性は低くなると考えられた.

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