Abstract
紙・パルプ産業は電力消費量が多く,またパルプ化工程や抄紙工程で多量の中低圧蒸気を使用している。このため,ボイラで得られる高温高圧蒸気はまず蒸気タービンでの発電に利用された後,中低圧蒸気をプロセスで利用するコージェネレーション(熱電供給)システムが導入されるなど,積極的な省エネルギー活動が一貫して取り組まれている。ボイラ水処理の観点でも,省エネルギーはもちろん,ヒドラジンを用いない等の安全性に考慮した取組みが他業種に先行して進められてきた。一方,低圧ボイラが主体で用いられる段ボール加工工場では,組立工程における低圧の乾燥用蒸気が工場の全エネルギーの中で,約半分と大きなウェイトを占めるため,蒸気原単位削減の要望が強く,有圧でドレン回収率が高い工場へと変化してきた。本稿では,これら社会情勢を受けて進化してきた最新のボイラ用水処理薬品の特徴を紹介する。水処理薬品による省エネルギーは,新たに大きな設備投資なしに直ぐに実施できる施策として有効である。ここでは,国内外500件以上で高い評価を頂いている低圧ボイラ向け多機能ポリマー:ドリームポリマー®を配合したボイラ用水処理薬品と,欧州で1,000件を越える実績があり,近年は国内外の学会で注目されている皮膜性アミン:セタミン®について紹介する。これらのボイラ用水処理薬品は,主力商品として国内外での省エネルギーに貢献できると考えている。
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