Abstract

本研究は, 心筋梗塞の病者の生きられた身体体験を探究することを目的に, 現象学的アプローチを用いた質的帰納的研究を行った. 研究対象者は急性心筋梗塞を発症した男性病者5名であった. データ収集は, 心筋梗塞を発症した直後から約3ヶ月間のあいだに, 公式面接法と非公式面接法によって行った.分析の結果, 心筋梗塞の病者の生きられた身体体験は,〈身体に注意を向けること〉に特徴づけられた. この〈身体に注意を向けること〉は, 病者それぞれの〈内在的な身体体験〉を導いていた. これは, 病者の意識のはたらきによって生じ, 病者の意識のなかでのみ内在的に感じられるものであった. また, 生きられた身体体験には, 〈発症時の意識の有無〉,〈情報を自分の知識とすること〉,〈関係世界と関係すること〉が大きく関わっていることが明らかになった. 本研究の結果より, 心筋梗塞の病者の体験の原初的部分とその主観的意味が示された. そして, 看護婦が心筋梗塞の病者のとる様々な行動や反応を理解するための示唆を得た.

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