Abstract

1973年,中小企業庁は,製造業を大企業と中小企業に規模別に分割した産業連関表(規模別産業連関表)の作成を開始した.当時の中小企業庁の報告書は,規模別産業連関表の作表目的について次のように述べている.「経済全体の中での中小企業部門の変化という,部分と全体の関係を構造的に把握しようとすれば,もはや各業種ごとの個別分析によるだけでは不十分な解明しか与えないことは自明であろう.その理由は,中小企業部門の存立とその変化が各業種ごとに発生する特殊な問題とともに,国民経済全体の構造変化から生じる産業間波及の影響によって大きく左右される点にある.」その後,規模別産業連関表は1978年,1980年,1984年,1985年に作成され,それ以降はほぼ毎年作成されるようになった. このように約30年の歴史を持つ規模別産業連関表ではあるが,中小企業庁の内部資料として扱われてきたため,多くの研究者の目に触れる機会が少なく,必ずしも当初の目的に沿って十分に活用されてきたとはいえない.近年「行政機関の情報公開」により部外者も規模別産業連関表を利用できるようになったのを機会に,筆者は近年の大企業と中小企業の間の構造的変化を検出することにした.

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