Abstract

牛乳および乳製品の無機塩類に関する研究の第一段階として,発光分光分析によつて,K, Na, Ca, Mg,P, Si, Zn, Sn, Cu, Mo, Mn, B, P, Al等の常成分元素を確認し,その定量を行ない,まずKおよびNaについて報告した.試料として粉乳22,市乳106,合乳83,および個体乳71点を1957~1960年に採取し,地域,季節,個体および泌乳時期による変化を検討した.採取は毎月1回とし,試料は550~600°Cで灰化し,炎光分光分析によつて定量した.その結果,灰分1g中のKおよびNa量は,生乳ではそれぞれ216.75および75.50mgであつたが,市乳ではこれより抵く,201.33および72.03mgであつた.このこと特にKの減少は,原乳とその処理乳とを直接比較することによつて明らかであるが,その理由については検討中である.牛乳中のKは,冬から春にかけて低くなり,夏と秋は高い.これは,この時期に末期乳が多くなるためである.5頭の乳牛の総計8泌乳期について調べたところ,泌乳停止の前月から,急激にKが減少することが認められた.Naは逆に,泌乳末期に向かつて増加するが,その変化は緩徐であるため,季節的差異も,Kほどには認められない.また牛乳中のKとNa量は,5%レベルで負の相関を示した.すなわち,KとNa量の高低は,相反する傾向がある.地域および個体による差は,Naではきわめて大きいが,Kでば小さくて,その量は比較的一定している.

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