Abstract
印旛沼は日本で最も富栄養な湖のひとつである。水質と密接に関係のあるプランクトンの生態に関する研究はされていない。本研究ではプランクトンの中でもバクテリアについて,その季節変動パターンおよび変動要因を明らかにするため,2009年4月から10月にかけて週1回の調査を行った。バクテリアの密度に影響を与えるボトムアップ効果として窒素・リン・有機物(クロロフィルa,懸濁態リン),トップダウン効果として捕食者(鞭毛虫)を考慮に入れ,これら要因がバクテリアの密度に与える影響の相対的重要性について検討した。バクテリアの密度は約1.8~9.5×106cells mL-1の間で変動し4月下旬に最大となった。重回帰分析の結果,バクテリア数 は懸濁態リンとは正の相関,鞭毛虫とは負の相関がみられたが,水温,栄養塩濃度(窒素,リン),クロロフィル濃度との間には有意な関係は認められなかった。懸濁態リンとの関係はあったがクロロフィル量との関係がみられなかったことから,外来性の物も含め有機物量全体がバクテリアの変動を制限していると考えられた。栄養塩のうち,リン濃度は非常に低く,バクテリア密度との間には関係がみられなかったが,バクテリアの成長を制限しているのかもしれない。一方,鞭毛虫との間に負の相関関係があり,バクテリアの密度は鞭毛虫による捕食によって制限されていることが示唆された。以上の結果より,富栄養な印旛沼のバクテリア数はトップダウン効果(鞭毛虫による捕食)だけでなくボトムアップ効果(懸濁態リンの濃度)によっても制限されていることが示された。
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