キャベツにおける被覆資材を用いたコナガの被害防止

Abstract

キャベツに不織布 (タフベル3000N), 透明寒冷紗 (クレモナF1000), 寒冷紗 (テイジンT400) の資材で被覆を行って, コナガの被害を防ぐ方法を検討した。 被覆内部に苗とともにコナガを持ち込まないように, 育苗床で薬剤散布し, 定植時に粒剤の土壌混和を行った。 定植時から収穫時または収穫10日前まで被覆し, 被覆期間中にコナガの発生を認めたら被覆資材の外から1回程度薬剤散布した区は, 無被覆で慣行防除を行った区と収量が同じで, 結球部の品質にも影響がなかった。 その他のアブラムシ類, 鱗翅目幼虫の発生も同時に抑えることができた。 夏どりキャベツでは一般に8～10回の薬剤散布が行われているが, 本方法では散布回数が軽減された。 これらのことから, 通気性のある被覆資材を利用した栽培はコナガをはじめ害虫に対する有効な防除手段になると考えられた。 コナガが被覆内で増殖するのは, 資材がキャベツ葉と接している部分にコナガが産卵し, 艀化幼虫が被覆内に侵入するためで,産卵を防ぐには, 葉と接しないようにキャベツの畝よりも大きめにかけることが必要と思われた。 日中, 被覆内部の温度は外部より約3℃高くなった。 このため, 冬どりキャベツでは生育が促進され, 収穫時期が早まった。