Abstract

季節風が卓越する折,東北地方日本海沿岸の所によっては,安定な海水泡沫が多量に発生して,岸に1m余も,数時間以上堆積することも稀でない.これらが風により飛散飛翔され,付近にある送配電線,通信線等の工作物に捕集され,状況によっては送配電,通信不能の最悪事態を誘発する.また樹木,環作物に損害を与え,金属構造物には錆害を与える.その外鉄道レール上に付着して,列車をslipさせ,遅延も起させている.このような現象は,台風,強風来襲時には太平洋沿岸地方でもしばしば起っておるが,その被害は所謂海塩粒子による塩害と混同された場合もあったであろう.ここ数年来,筆者は観測代表地点として山形県飽海郡吹浦海岸を選び,この種安定泡沫の実況を詳しく観測した結果,海水中にplankton,主としてdiatom種や海藻の体液(これらは表面活性物質である)等が溶け又は混入すると,生じた泡沫は安定化され寿命は極めて長くなることがわかった.泡沫の飛散,飛翔や付着現象に関係すると考えられる物理的諸性質(粒度分布,密度,粘性,表面張力,熱及び電気伝導その他)を現場にて観側して概略の値を得,上記災害軽減防止の観点から検討した.比較検討のため,アメリカ,カリフォルニヤSan Diego沖に発生する安定泡沫についても多少触れた.ここではSlicks上に安定泡沫が生じ,内部波と共に岸方向に移動して行く.この場合の表面活性物質は主に海藻と Plankton(主にFlagellata類)が提供している.今後,以上の安定泡沫の諸現象と気象状況との関係につき,更に深く研究することが望まれる.

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