Abstract

症例は71歳男性の糖尿病患者.19歳時に肺結核症にて胸膜外合成樹脂球充填術を受け, 以後経過に異常を認めなかった.52年を経過して左腋窩を中心として左胸壁に皮下腫瘤が出現した.胸部CTでは膿胸及び膿胸腔と交通をもつ胸壁膿瘍を認めた.当初起炎菌は不明であった.感染の範囲が広かったため, 再発の危険性を減少させる目的で, 2期的に手術を行った.まず合成樹脂球除去, 膿胸腔及び胸壁膿瘍郭清術を行い, 開窓とした.開窓中に, 術前採取した膿の抗酸菌培養で結核菌陽性が判明したため, 結核性慢性穿通性膿胸と診断し, 化学療法を開始した.初回手術から約1ヵ月後, 左肺剥皮術を行った.以後約2年を経過しているが, 膿胸の再発を認めていない.本症例は胸膜外合成樹脂球充填術後の晩期合併症に対する外科治療が成功した1例である.結核治療の歴史の一端を垣間見る興味深い1例であると考えられた.

Full Text
Paper version not known

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call