Abstract

近年,機能性が注目されているベタインを一般的な加工食品に利用することを目的に,食パン生地にベタインを高配合したときの製パン性に与える影響を検討した.まず,食パンに,ベタインをパン生地の小麦粉に対して1∼5%添加したところ,生地からのガス発生量は,ベタイン添加量に依存して減少し,ホイロ時間が増加した.特に,機能性付与を目的とした5 %の配合では,製パン性は大きく劣化し,比容積は11%低下した.次に,食パンにベタインを高濃度に配合したときの影響を低減する方法として,ミキシング前に添加する方法に対して,ミキシング後半に添加した場合の食パンの物理特性や食感に及ぼす影響を詳細に調べた.その結果,ベタイン添加によるガス発生量およびガス保持性の低下は,ミキシング後半に添加することで大幅に改善し,比容積も有意に(p<0.05)改善した.ベタイン添加による比容積の低下は,クラムの硬さと高い負の相関がみられ,クラムの硬さが有意に(p<0.05)増加するとともに,クラストの硬さが低下したが,ベタインの添加をミキシング後半とすることで,ネガティブコントロールの硬さに近い値にまで改善された.これらの結果は,食感に関する官能評価の結果とも一致していた.走査型電子顕微鏡(SEM)による生地の組織像から,ベタインを高配合すると,ミキシングおよび発酵時にグルテンネットワークの形成が十分に形成できていないこと,ミキシング後半の添加とすることで,無添加の生地に近い状態に改善する様子が観察された.以上の結果から,食パンにベタインを高配合する場合は,添加時期を遅らせることで製パン性への影響を小さくできると考えられた.

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