Abstract

多摩丘陵で発見された絶滅危惧種タマノホシザクラの分布と多摩ニュータウン(以下NT)開発との関連性を明らかにするために,本種の分布調査を行なった.これまで本種は約100個体が生育すると考えられていたが,八王子市と町田市に多摩市を加えた3市の27個所に177個体が生育していることが明らかになった.うち81.9%がNT区域内に,17.5%が隣接する町田市の片所谷戸の二次林に生育し,NT区域における本種の生育地は全て東京都施行区域であったが,現在の管理者は異なっていた.胸高直径(DBH)と年輪解析をもとに推定した樹齢とNT開発年代の関係をみると,生育地の開発が行われた1980年代には,最も大きなサイズの個体でさえ幼苗か若齢木であったことが示唆された.また,公園管理者の資料には一部の個体がヤマザクラとして記載され,現在も同名の樹名板もつけられていたこと,そして東京都のNT開発資料から,自生地と推察される片所谷戸のような二次林からヤマザクラの稚樹が移植された可能性が高いと考えられた.以上のことから,現在のタマノホシザクラの分布は,自生地が僅かに残っている一方,東京都によるNT開発の際の人為的な植栽が強い要因として働いていると結論づけられた.本種のいくつかの個体群は10年間で消滅していたが,片所谷戸では,近年のボランティアによる二次林管理の再開によって萌芽個体数は増加していたため,タマノホシザクラの個体群の保全と持続可能な利用を維持するには,周期的な伐採や下草刈りなどの二次林の管理を,個体群の生育状況に合わせて適切に行うことが重要であると考えられる.

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